2010.07.28 二十年目に知らされた事
先日、二十年ぶり位に電話をくださった患者さんがいました。
お孫さんが具合が悪いので見て欲しいとの事でした。
お孫さんの治療が三回位で無事終わった日の帰り際に「先生、今度は私の治療もお願いします。改めて電話します。」とおっしゃいました。
でもわたしは本当にまた電話が来るとは思わずそんなことすっかり忘れていました。帰り際に「今度は私をお願いします。」と言っても実際においでになる方は少ないので、またそんな事だろうと思っていたのです。
そしたら三カ月位して本当に予約の電話が入りました。
彼女は実にそそくさとベットまで来て嬉しそうな顔をして「ああ、やっと先生の治療が受けられる。この日をどんなに待った事か。嬉しいなぁ。」とおっしゃるのです。二十年もおいでになれなかったのには何か理由がおありなのだろうとは思いましたが、深くお聞きする事もなく治療を終わりました。
施術が終わり着替えをして、お金をお支払いいただく時になって彼女はしんみりとした調子で「私、本当に何回も来たいと思ったんですよ。でもね。助手の先生がいるかもしれないと思ったら電話できなかったの。」とおっしゃるのです。
「えっ。どういう事ですか?」とお聞きすると
「実はね、私二十年前に先生のところで治療を受けていた時、女性の助手さんが入ったでしょ。まだ見習いだったからしょうがないんだけれど、先生が治療して下さった後、助手さんに『治療を始める前と今の変化を確かめてごらんなさい。』って言って、助手さんに触らせた時、助手さんが触れた途端、せっかく先生に治療していただいたのに、体がガタガタと悪くなる感じがしたの。私もまだ若かったから『いやです。』とは言えなくて、もう来るのやめようと思ったの。
今まで何回も来たい時があったんだけれど我慢して近所に行ったりしたんだけれど、孫の具合が悪くなった時『もうこれは先生のところでしか治せないだろう。』と思ったから勇気を出して予約の電話をして、それにかこつけて様子を見に来たの。そしたら助手さんがいなかったので、これでやっと私が治療できると思ってすごく嬉しかったのよ。」と打ち明けて下さいました。
「私の体は先生の手ではないとだめなんです。先生の手は本当に不思議な手なんです。」と言われました。
褒めていただいて本当にありがたく、嬉しかったのですが、それより助手が背骨を少し触っただけなのに、そんなに敏感に影響を及ぼしていたことに驚きを感じました。
ショックでした。
「手当」とは文字通り「手を当てる事。」
でも、ちょっとしたことがそんなに人の体に影響を及ぼしてしまっていたのかと、改めて施術をすることの怖さを知りました。
そして、そんなことに全く気がつかなかった私の迂闊さが悔やまれます。
杉並区久我山 松本整体 久保田昇子
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