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2009.03.09  電車での出来事

今日は今どきにしては珍しい光景だったので、少しほのぼのとした気分で電車の中で起こった出来事を書いてみます。

新宿始発の電車が発車までの時間を待っているとき、少し遠くの方で大きな声で小言を言っている女性の声が聞こえてきました。最後に「謝って欲しいわ。謝って。」という大きな声が聞こえ、男性が「ごめん。」という声が聞こえてきました。私の二つ隣の女性が、隣の女性に小さい声で「こんな大勢の中で、謝れなんて言ってかわいそうね。あんなことは二人になったときにそっといえばいいのにねぇ。」と言っていました。隣の女性もうなずいて、それから少し世間話みたいな事が始まりました。
 そのうち電車が発車して、ふと向こう側の通路をみると、老年の男性がよろよろしながら吊革につかまっていました。「あれっ。どうなさったのかなぁ。」と思った瞬間、今まで世間話していた隣の席の女性が立って席を譲りました。そしてそのまま男性の立っていた場所で吊革につかまろうとしたら、その前の若い女性が席を立ってその女性に席を譲りました。すると、その隣にいた若い男性が「あっ。」と声をあげて、私の斜め前に立っていた女性に向かい「お母さん、どうぞ座ってください。」と声をかけました。声をかけられた女性は「私はいいです。まだそんな年でもありませんから。」というのを、(確かに、私と同じくらいの年に見えました。)さっきの隣の隣の女性が「若い人が席を譲ってくれる時は、素直に、ありがとうと言って座った方がいいですよ。」と言ったので、その女性は「それなら座ります。すみません。」と言って、男性の譲ってくれた席に座りました。
 すると私の隣に来た席を譲られた男性と、その隣の「若い人が席を譲ってくれたら・・・。」といった女性がお互いに、自分が何故足が悪いかという話をし始めました。
 そのうち、その男性は私の方に向って「私の足には鉄砲の弾が入っていましてね。少年兵で志願して戦争に行ったサイパンで、鉄砲の弾にあたり、最後の運搬船で日本に送り返されたんです。その時は皆に「運が悪いなぁ。」と言われたのですが、そのあと仲間は全滅でした。二万人の仲間が全員玉砕しました。穴に隠れても、米軍が火炎放射機で焼き尽くすので、みんな自害したんです。」と話してくれました。
その時私は自分が降りる駅に着いてしまったので「お大事に。」と言って、電車を降りましたが、わずか十分くらいの間にこんなにいろいろなことが起きたのは初めてで、「今日はなんて日なんだろう。」と不思議な気分で帰ってきました。でも、こんな風に知らない者同士が席を譲ったり譲られたり、世間話をしたり、なんだか昔の田舎の風景みたいで何となく心が温かくなりました。

杉並区久我山 松本整体

投稿者 matsumoto (16:16) | PermaLink
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